作家名としての降田天の読み方は「ふるた てん」です。一見すると男性単独のペンネームのようにも受け取れますが、その正体は女性2名によるプロの創作ユニットです。
降田天を構成しているのは、プロット(構成・トリック)を担当する萩野瑛(はぎの あきら)と、実際の文章執筆やキャラクター描写を担当する鮎川颯(あゆかわ はやて)の2人です。日本のミステリー界において、合作名義や共著スタイルの作家は岡嶋二人など過去にも存在しましたが、女性2人組のユニットとして第一線でヒット作を連発しているケースは極めて稀有な例といえます。
制作体制は極めてシステマチックでありながら有機的です。まず萩野瑛が全体の骨組みとなる精巧なトリックや謎解きのロジックを設計し、それをもとに鮎川颯が情感豊かな筆致で物語と登場人物に血を通わせます。プロット段階で徹底的なディスカッションが重ねられるため、単独執筆では見落としがちなストーリーの綻びや伏線の不自然さが徹底的に排除される点が、降田天作品の圧倒的な完成度を支えています。