神社界を統括する神社本庁の公式見解によれば、おみくじの吉凶順序に全国一律の規程は存在しません。神社本庁の広報資料や指導教本において一貫して強調されているのは、「吉凶の別よりも、そこに記された和歌や御神訓(神様の教え)を生活の中でどう活かすか」という点です。
日本の神道思想において、運命は決定論的なものではなく、本人の日頃の行いや心の持ち方によって絶えず変化するものとされます。おみくじは未来を予言するサイコロではなく、「現在の自分の心の状態を映す鏡」であり、神仏からのアドバイスに他なりません。
その観点から見ると、「吉」という文字には極めて深い意味が込められています。漢字の成り立ちにおいて「吉」は、神聖な器(口)の上に神仏への祈りを込めた刃物(士)を置いた形、あるいは「良い状態・めでたいこと」を表す原初の文字です。
運勢学的に見れば、大吉は「運気の頂点」を意味するため、陰陽道で言う「物極まれば必ず反す(陽極まれば陰生ず)」の原則通り、今後は下降へ向かう警戒を要する状態でもあります。これに対し、「吉」は「余計な災いがなく、平穏無事であり、努力次第でここからいくらでも上昇できる余白を残した最良のバランス」を指します。驕り高ぶることなく着実に進むべき好機であると解釈するのが、神道文化における正統な捉え方です。