店内の品書きを開くと、伝統的なせいろから季節限定の種物、丼ものとの組み合わせまで、多彩な更科丸屋のメニューが並びます。訪れる客の目的に応じて選べる懐の深さがありますが、中でも初訪問時に外せない名物が存在します。
まず筆頭に挙げられる更科丸屋のおすすめ蕎麦は、職人の腕がダイレクトに伝わる「もり蕎麦(ざる蕎麦)」と「天せいろ」です。白く艷やかな麺を濃厚な辛口つゆに三分ほど浸して啜れば、御前粉ならではのほのかな甘みが口いっぱいに広がります。胡麻油の香りを纏った天ぷらは、薄衣でサクッと揚げられており、旬の野菜や肉厚の海老が見事な調和を見せます。
そして、常連客の約6割が注文するのが不動のエースである更科丸屋のカツ丼セットです。蕎麦屋ならではの濃厚な出汁を贅沢に吸ったカツは、厚みがありながら驚くほど柔らかく、絶妙な半熟加減の卵でとじられています。甘辛いタレと白米の相性は抜群で、そこに清涼感あふれる蕎麦が添えられることで、重たさを感じさせずに最後まで心地よく食べ進めることができます。
平日の昼時には、ビジネスパーソンや近隣住民で賑わう更科丸屋のランチ限定セットも人気を博しています。日替わりの小鉢やミニ丼がつくセット構成は、昨今の原材料高騰下でも良心的な設定となっており、働く人々の胃袋を力強く支え続けています。