ドリフターズを語る上で欠かせないのが、「幻の6人目」と呼ばれるコメディアン、すわ親治(すわ しんじ)さんの存在です。
志村さんと同様にドリフの付き人出身だったすわさんは、『8時だョ!全員集合』の後半期において、全身タイツ姿で奇怪な叫び声を上げながら舞台を疾走するキャラクターや、志村さんとの絶妙な掛け合いで強烈なインパクトを残しました。当時、正式メンバーへの昇格が幾度となく検討され、新聞やテレビ誌でも「ドリフ6人目の男」として特集が組まれた実績があります。
しかし、最終的に正式加入という形は取られませんでした。その背景には、すわさん自身の「5人の完成されたバランスを崩したくない」「一人の独立した喜劇役者として腕を試したい」という表現者としての誇りがあったと関係者は明かしています。すわさんはグループから独立した後も、舞台演劇や一人芝居でその怪優ぶりを発揮し、今なお演劇界で熱狂的な支持を集めています。
生放送という逃げ場のない極限状態で作られた『8時だョ!全員集合』には、今では考えられない数々の伝説が残されています。
- 生放送中の大停電事故(1984年):埼玉県入間市民会館からの生中継直前、会場の電源トラブルにより照明が全滅。真っ暗闇の中で放送が開始された際、いかりや長介さんは懐中電灯の明かりだけでステージに立ち、「8時9分だョ!全員集合」と機転を利かせて場をつなぎ、放送事故の危機を伝説の名場面に変えました。
- 消防署からのガチ指導と火気騒ぎ:大爆発コントや煙の演出があまりに激しかったため、現地の消防署から厳重注意を受けながらも、ギリギリの火薬量を攻め続けた現場スタッフの狂気的なこだわり。
- ミリ単位で落下する巨大セット:天井から落ちてくる金盥(タライ)や崩壊する屋台は、メンバーの頭部や身体に当たる角度がミリ単位で計算されており、スタッフと演者の絶対的な信頼関係がなければ成立しない職人技でした。