横紋筋と平滑筋の違いとは?心筋・骨格筋の構造と見分け方を完全解説

横紋筋と平滑筋の違いとは?心筋・骨格筋の構造と見分け方を完全解説

横紋筋と平滑筋の違いとは?心筋・骨格筋の構造と見分け方を完全解説について徹底解説いたします。最新の情報をチェックしてください。

人体の筋肉を形態学的に観察した際、最も根本的な分類基準となるのが、光学顕微鏡下で「横縞(横紋構造)」が観察されるか否かという点です。解剖生理学の筋肉分類まとめにおいて、筋肉は大きく「横紋筋」と「平滑筋」の2群に分かれ、さらに横紋筋は「骨格筋」と「心筋」に細分化されます。

では、なぜ一部の筋肉には縞模様が現れ、別の筋肉はなめらかな「平滑」に見えるのでしょうか。その鍵を握るのが、収縮タンパク質であるアクチンフィラメントとミオシンフィラメントの配置様式です。

横紋筋では、これら2種類のフィラメントが極めて規則正しい格子状に配列し、筋節(サルコメア)と呼ばれる微小な収縮単位を無数に直列連結しています。光学顕微鏡で見ると、ミオシンが存在する光を通しにくい暗い帯(A帯・暗帯)と、アクチンのみで構成される光を通しやすい明るい帯(I帯・明帯)が交互に並びます。この規則的な明暗の繰り返しこそが、観察者を驚かせる美しい横縞の正体です。筋収縮の際には、ミオシンの頭部がアクチンを引き寄せる「滑り込み説(スライディング理論)」により、サルコメアが一斉に短縮することで、強力かつ瞬間的な収縮力を生み出します。

対照的に平滑筋では、アクチンとミオシンは規則正しいサルコメア構造を形成していません。代わりに「密集体(デンスボディ)」と呼ばれる構造物を結節点として、細胞質内に網目状・斜め方向に張り巡らされています。このため光学顕微鏡で見ても明暗の縞模様が生じず、細胞全体が均一でなめらか(平滑)に見えるのです。平滑筋の収縮は、横紋筋のような電光石火のスピードは出せないものの、あらゆる方向に細胞を縮めることができ、消費エネルギーを極限まで抑えながら長時間にわたって持続的な張力を維持するという、内臓にとって理想的な特性を獲得しています。

さらに見逃せないのが、細胞核の数と配置の違いです。骨格筋は発生の過程で多数の筋芽細胞が融合して形成されるため、1本の筋線維の中に数千個もの核が存在する多核細胞(核は細胞膜の直下・周辺部に局在)となります。一方、心筋と平滑筋は融合を経ないため、細胞の中心部に核が1個(心筋では稀に2個)存在する単核細胞です。この単核細胞と多核細胞の違いも、組織切片を鑑別する際の決定打となります。

佐々木 一輝
著者

佐々木 一輝

Webメディアでの編集・執筆歴10年。読者の好奇心を刺激するストーリー作りを心がけています。