1989年ヒット曲の真相|バブルと平成元年の名曲が今響く理由

1989年ヒット曲の真相|バブルと平成元年の名曲が今響く理由

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激動のチャートを牽引したのは、時代の空気を鮮やかに体現した女性アーティストたちでした。1989年の音楽シーンを象徴する最大の出来事は、ガールズロックバンドの草分けであるプリンセス プリンセスによる年間チャートの完全制圧です。奥居香(現・岸谷香)のパワフルなボーカルとキャッチーなメロディ、中山加奈子らのタイトな演奏が融合した「Diamonds」は、ソニーのカセットテープ「HF-X」のCMソングとして大量オンエアされ、街中に鳴り響きました。カップリング曲だった「M」の切ない失恋描写も口コミで爆発的な共感を呼び、同年に再発された「世界でいちばん熱い夏」とともにオリコン年間ランキングで1位・2位を独占するという史上初の歴史的快挙を成し遂げました。

対照的な魅力を放ち社会現象となったのが、相田翔子と鈴木早智子によるデュオWinkです。「愛が止まらない 〜Turn It Into Love〜」のブレイクに続き、7月にリリースされた「淋しい熱帯魚」は、洋楽ユーロビートのビート感に哀愁漂う哀愁メロディを乗せ、オリコン初登場1位を獲得しました。テレビの歌番組で笑顔を見せず、人形のように無機質に踊る「無表情ダンス」と特徴的なハンドサインは、当時のバラエティ番組や学校の教室で一斉に模倣され、第31回日本レコード大賞を受賞するに至りました。過剰な感情表現を排したクールな佇まいは、バブル消費に浮かれる世相に対する無意識のアンチテーゼとして、当時の若者の心に深く突き刺さったのです。

ソロアイドル界の頂点に君臨していた工藤静香の存在も際立っていました。「恋一夜」「嵐の素顔」、そして中島みゆき作詞・後藤次利作曲の「黄砂に吹かれて」と、リリースする楽曲すべてをヒットチャートの最前線に送り込みました。「嵐の素顔」で見せた顔の横で手を直角に動かす振り付けや、情熱と哀愁が交差するボーカルスタイルは、従来の「守ってあげたい清純派アイドル」像を完全に打ち破り、同世代の女性たちから圧倒的なファッションアイコン・憧れの存在として支持を集めました。

木村 陽翔
著者

木村 陽翔

デジタルガジェットとスマート家電の検証記事を多数執筆。失敗しないモノ選びを提案します。