猿ヶ島スポーツセンター閉館の真相と跡地利用|厚木市が下した決断

猿ヶ島スポーツセンター閉館の真相と跡地利用|厚木市が下した決断

猿ヶ島スポーツセンター閉館の真相と跡地利用|厚木市が下した決断に関する専門家の意見を分かりやすく解説いたします。

被災直後からインターネット上やSNSでは、「厚木市が北部地区のスポーツ施設を見捨てたのではないか」「予算を削減するために水害を口実に閉館したのではないか」といった誤解や憶測が散見されました。しかし、公式資料や行政の意思決定プロセスを検証すると、そこには単なる財政都合にとどまらない国土交通行政と都市防災上の鉄則が存在していたことがわかります。

最大の盲点は、同敷地が国土交通省の指定する「浸水想定区域(洪水浸水想定区域)」の中でも、極めて危険度の高いエリアに重複していた点です。気候変動によって線状降水帯の発生頻度が跳ね上がり、いわゆる「100年に1度」クラスの豪雨が数年スパンで頻発する現在、河川敷の低平地に公費を投じて恒久的な電気室や体育館を再建することは、将来的な二次災害や再度の水没被害を招くリスクを伴います。

厚木市が定めた「厚木市公共施設最適化基本計画」および体育施設再編整備の枠組みにおいて、市は「老朽化施設の集約」と「災害リスクの高いエリアからの重要機能の移転」を基本方針に据えていました。つまり、猿ヶ島スポーツセンターの閉館理由は、突発的な被災のみによって下された判断ではなく、激甚化する風水害から市民の命と税金を守るための「戦略的撤退(Managed Retreat)」という都市計画上の判断だったのです。

山崎 陸
著者

山崎 陸

最新のテクノロジーと生活デザインの融合をテーマに、国内外の最新トピックを発信しています。