ネット上で広く流布している「神社相性の噂と真相」を紐解く上で、起点となるのが「繭気属性(けんきぞくせい)」と呼ばれる概念です。大手ポータルサイトや占い専門メディアで紹介されている生年月日と血液型の属性診断では、人間と自然界のパワースポットはすべて「地・水・火・風・空」の五つの属性に分類されると説かれています。
具体的な繭気属性の計算方法は極めて機械的です。西暦の生年月日の数値をすべて1桁になるまで足し合わせ、そこに自身の血液型に応じた特定の加算値(A型=1、B型=2、AB型=3、O型=4など)を足し、最終的に算出された1から9までの数字によって自らの属性を割り出します。例えば、合計が「1・6」なら地、「2・8」なら水、「3・7」なら火、「4・9」なら風、「5」なら空といった具合です。
しかし、全国約8万社の神社を統括する神社本庁の関係者や神道学者に取材を行うと、返ってくる見解は明確です。「神道には古来より『八百万(やおよろず)の神』を祀り、いかなる参拝者であっても分け隔てなく迎え入れる包摂の精神があります。生年月日や血液型で神社との相性を決定づける教義は、伝統的な神道の教えには一切存在しません」。
実態として、この属性理論は2000年代以降のスピリチュアルブームの中で、中国の陰陽五行思想や風水の要素を現代的な占いフォーマットへと翻案し、Webメディア上で拡散されたコンテンツです。決して数千年の伝統を持つ神事の掟ではなく、現代人が生み出したエンターテインメント的な民間俗説であるという事実を、まずは正しく認識する必要があります。