手軽さを求める層の間で「耐熱ボウルに入れて電子レンジで加熱するだけ」という時短レシピが注目を集めています。SNSや動画サイトでは「たった10分で完成」と紹介され絶賛される一方、料理投稿サイトの実食レビューを精査すると、「激しく突沸してレンジ庫内がベタベタに汚れた」「皮が生煮えでゴムのように硬い」「均一に火が通らず一部が焦げ付いた」といった不満の声が多数寄せられています。
ジャム専門店の工房現場で確認すると、柑橘の皮に含まれる厚い細胞壁を柔らかく崩すには、弱火でじっくりと細胞間隙に水分を行き渡らせる時間が必要です。電子レンジのマイクロ波加熱では水分だけが急激に蒸発するため、皮がしなやかになる前に糖分がキャラメル化してしまい、皮の硬さが残ってしまいます。手軽に少量のオレンジマーマレードを作る用途には適していますが、夏みかんや文旦などの分厚い皮を持つ柑橘では、従来通り厚手のホーロー鍋やステンレス鍋でコトコト煮詰める手法が圧倒的に完成度を高めます。
また、本格的な風味を追求する愛好家の間では「オレンジマーマレードプロの隠し味」として、火を止める直前にコアントローやグランマルニエといったオレンジリキュールを小さじ1杯垂らす手法や、すりおろした生姜、砕いたカルダモンシードを少量加えるアレンジが高く評価されています。柑橘特有の揮発性アロマがアルコールによって引き立てられ、市販の高級ジャムを凌駕する奥行きのある香りが生まれます。