連載当時から完結後に至るまで、大手掲示板やSNS、国際的な考察フォーラムで繰り広げられたファンの考察とネットの反応は、作品の受容史そのものを変容させてきました。
特に顕著だったのは、主人公エレン・イェーガーの道徳的評価に関する二極化です。マーレ編突入直後、ネットコミュニティでは「エレンは虐殺者か、それとも祖国の救世主か」という激しい議論が巻き起こりました。海外ファン層の調査データでは、パラディ島の生存権を最優先とみなして「地鳴らし」を支持する派閥と、普遍的人権の観点からハンジやアルミンに同調する派閥がほぼ半数ずつに割れるという、かつてない分断現象が確認されています。
さらに、単行本最終巻の発売時に追加された「加筆ページ」に対する現場の反応も劇的でした。エレンの死後、平和が訪れたかに見えたパラディ島が、数十年後あるいは数百年後の近代兵器による絨毯爆撃で炎上する描写が追加された際、読者の間には絶望と感嘆が交錯しました。「エレンが成し遂げたことは無駄だったのか」という憤りの声が上がる一方で、「民族の怨嗟や戦争の連鎖は、一個人の英雄的行動では絶対に消滅しないという過酷な現実主義の提示」として、文芸評論家や社会学者からも高い評価を受ける契機となったのです。