ペットロスの苦しみを一層過酷なものにしている背景には、周囲からの無理解と孤立があります。社会学者ケネス・ドカが提唱した「公認されない悲嘆(Disenfranchised Grief)」という概念が示す通り、人間の家族を亡くした際には忌引き休暇や手厚い弔意が示される一方で、動物の死に対しては「たかがペットのことで仕事を休むのか」「また新しい犬を飼えばいい」といった心ない言葉が投げかけられがちです。
SNSやネット掲示板、相談サイトに寄せられるペットロス体験談とネットの反応を定性分析すると、当事者が抱える孤独の深さが浮き彫りになります。
「15年連れ添った猫を亡くして3週間、職場では平静を装っていますが、トイレに駆け込んでは吐き気と涙に震えています。同僚から『元気出して、次飼えば忘れるよ』と軽く言われた瞬間、自分の世界が断絶されたような深い絶望を感じました」(大手掲示板・40代女性の手記より)
「妻と二人暮らしで我が子のように育てた柴犬でした。亡くなった翌朝、いつもの散歩の時間に無意識にリードを手に取って玄関に立ち尽くし、そのまま声を出して泣き崩れました。自分の半身をもぎ取られたような感覚です」(知恵袋・50代男性の告白より)
ネット上のコミュニティでは、「周囲にペットロスを打ち明けたら引かれた」「悲しむ権利すらないように感じて誰にも言えなくなった」という吐露が後を絶ちません。この「周囲に隠さなければならない環境」こそが、感情の表出(カタルシス)を阻害し、症状を長期化させる最大の元凶となっているのです。