古式ゆかしい豊かな風味を堪能したいなら、生米と乾燥小豆を使って厚手の土鍋や鋳物琺瑯鍋で炊き上げるのが一番です。しかし、乾燥小豆はお米と吸水スピードや火の通りがまったく異なるため、小豆の渋抜きと下茹でのコツを押さえることが成功の必須条件となります。
老舗日本料理店の板前が語る手記や調理記録でも、小豆の下処理がいかに仕上がりの透明感を左右するかが繰り返し指摘されています。乾燥小豆はあらかじめ一晩水に浸す必要はありません。サッと洗った小豆をたっぷりの水で加熱し、沸騰したら一度その湯を完全に捨てます。この工程により、皮に含まれる過剰なサポニンやタンニンに由来するエグみが抜け、すっきりとした甘みが引き出されます。
渋抜き後は再び小豆の約3〜4倍の水を注ぎ、弱火で20〜30分ほどコトコト下茹でします。「指でつまんで力を入れると、皮が破れずに中身がスッと潰れる柔らかさ」が火を止める合図です。ここで茹で汁を絶対に捨ててはいけません。小豆の滋味とアントシアニン色素が溶け出したこの茹で汁こそが、小豆粥を生米から鍋で作る方法における最良の調味液となります。