慣用句「図に乗る」の正しい読み方は「ずにのる」です。「ず」という音から連想して「絵図」や「図面」、あるいは「企図(企み)」を思い浮かべる人も少なくありませんが、辞書的な基本定義は極めて明確です。
一般的な辞書では、「物事が思い通りに進んだことに気をよくし、つけあがって軽率な行動を取ること」「いい気になって増長すること」と定義されています。単に「気分が良い」「運が良い」という状態を指すのではなく、そこに「慢心」と「他者への配慮の欠如」が伴っている点が最大の特徴です。
実際のコミュニケーションにおいて、この言葉が自称として使われることはほぼありません。「最近仕事がうまくいって図に乗っています」と自分で言えば不自然極まりなく、基本的には第三者の傲慢な振る舞いを冷ややかに見つめ、非難・牽制するシチュエーションで発動します。周囲が「身の程をわきまえていない」と感じた瞬間に向けられる、強い警戒と拒絶のラベルと言えます。