徹底したエコーガイド下注射や3〜6ヶ月以上の専門的リハビリテーションを継続してもなお、インピンジメントに伴う疼痛が消失せず、日常生活やスポーツ活動に著しい支障をきたす場合には、外科的治療が現実的な選択肢として浮上します。
過去の肩峰下滑液包炎 手術 経緯を紐解くと、かつては肩を大きく切り開く直視下手術が行われていた時代もありました。しかし現代の主流は、患者の身体的負担を極限まで低減させた肩関節鏡視下手術(関節鏡下肩峰下除圧術:ASD)です。肩の周囲に5ミリから1センチ程度の小さなポータル(創口)を数カ所開け、内視鏡カメラと特殊な細径シェーバーやバー(骨を削る機器)を挿入して行われます。
手術では、慢性的な炎症によって分厚く線維化し、痛みの発生源と化してしまった肩峰下滑液包を徹底的に切除・清掃します。さらに、腕を上げた際に腱板と物理的に衝突している「肩峰の骨棘(加齢や摩擦で飛び出た骨のトゲ)」をミリ単位で平坦に削り落とす骨切除(肩峰下除圧)を実施します。摩擦の原因そのものを物理的に除去し、腱板がスムーズに動くための十分なトンネル空間を再構築するのです。
肩関節鏡視下手術の強みは、入院期間が2〜4日程度と短く、筋肉を大きく切離しないため術後の回復が格段に早い点にあります。退院直後から日常生活動作の軽度な使用が許可され、術後2〜3ヶ月で日常動作の完全復帰、術後4〜6ヶ月程度でゴルフや投球動作などのスポーツ復帰を果たすロードマップが一般的です。保存療法で出口が見えなくなった慢性患者にとって、この低侵襲手術は決定的なブレークスルーとなっています。