現役の作詞・作曲家やアレンジャーへの取材、そしてDTM制作の現場から聞こえてくるのは、「カノン進行は便利すぎるがゆえの恐怖」という生々しい声です。
「コンペ(楽曲提案会)で『とにかく誰の耳にも残る、切ない国民的サビを作ってくれ』と発注された際、カノン進行のバリエーションを展開するとクライアントの反応が明らかに良くなる。しかし同時に、一歩間違えれば『どこかで聴いたことのある平成J-POPの焼き直し』と切り捨てられるリスクと常に隣り合わせだ」(都内音楽プロダクション所属作曲家・30代)
音楽リスナーのリアルな検証データを見ても、主要音楽配信サービスのプレイリスト分析では、卒業シーズンや年末年始に再生数が急上昇する楽曲の約4割にカノン進行またはその変形パターンが含まれていることが確認されています。これは流行り廃りではなく、日本人の情緒的バイオリズムにカノン進行が完全に同期している証拠といえるでしょう。