現在の海上自衛隊において、旧海軍大尉に相当する階級は「1等海尉(1尉)」(英語表記:Lieutenant)です。防衛大学校や一般大学を卒業後、幹部候補生学校を経て幹部に任官した隊員が30歳前後に到達するポジションです。
両者の間には、組織構造と役割において以下のような明確な相違点が存在します。
1. 指揮系統とテクノロジーの進化
旧海軍の大尉は目視と肉声・無線による直接指揮が中心でしたが、現代の1等海尉はイージスシステムや高度な戦術データリンク(リンク16等)を駆使するシステム運用責任者としての色彩が強くなっています。
2. 艦長職の範囲
旧海軍では大尉が小型駆逐艦の艦長を務めることが一般的でしたが、現代の海上自衛隊では護衛艦の大型化・ハイテク化に伴い、艦長ポストは「2等海佐(中佐相当)」または「3等海佐(少佐相当)」が務めます。1等海尉は掃海艇やミサイル艇の艇長、あるいは護衛艦の「砲雷長」「船務長」などの科長を務めるのが通例です。
3. 昇進ルートと選抜試験
旧海軍では海軍大学校甲種学生の受験資格が大尉時代にあり、ここを突破できるかが将来の将官への分岐点でした。自衛隊においても1等海尉の時期に「指揮幕僚課程(CS)」の選抜試験があり、高級幹部(佐官・将官)へ進むための最大の登竜門となっている点は、時代を超えて共通するキャリアの節目です。