ボートレース戸田が「イン受難の水面」と呼ばれる最大の要因は、人工の長方形水路(戸田漕艇場)を利用した全国で最も狭いコース設計にあります。特にスタンド側の水面幅が極端に狭く、ピットから第1ターンマークにかけてのスペースが窮屈な構造になっています。
さらに決定的なのが、第1ターンマークがスタンド側へ約13メートルも大きく振られている点です。この特殊なレイアウトにより、1コースの艇はスタート後に真っ直ぐ走るだけではターンマークに突っ込んでしまうため、斜め外側へハンドルを切りながらブイを目指さなければなりません。その結果、インの艇は助走距離が足りず、ターン時に十分な「マイシロ(ターンするための懐)」を確保できなくなります。
窮屈な体勢から無理に握って回れば外へ流れ、落として回れば外からの引き波に飲み込まれるというジレンマに直面します。この構造的ハンディキャップこそが、他場では鉄板と呼ばれる実力派A1レーサーであっても戸田のイン戦で呆気なく敗れる根本的な理由です。