和歌山市南西部に位置する雑賀崎は、古くから一本釣り漁業で栄えてきた歴史ある漁師町です。すり鉢状の急傾斜地に家屋が階段状に密集するその佇まいが、イタリアの世界遺産「アマルフィ海岸」に酷似していることから、「日本のアマルフィ」として国内外の観光客を魅了しています。
その集落の最頂部、海抜約65メートルの断崖「鷹巣山(たかすやま)」に鎮座するのが雑賀崎灯台です。昭和28(1953)年に初点灯して以来、紀伊水道を行き交う船の道標となってきましたが、和歌山市による観光拠点整備事業によって展望施設が全面的に刷新されました。かつては知る人ぞ知る展望台だった場所が、現在では年間を通じて幅広い世代が訪れる和歌山市を代表する観光スポットへと変貌を遂げています。
現地を訪れてまず圧倒されるのは、新設された雑賀崎灯台の展望デッキからの視界の広さです。無機質なコンクリート壁を排し、安全性を保ちながらも開放感を極限まで高めたウッドデッキからは、眼下に広がるリアス海岸の造形美、淡路島や四国の山影までを一望できます。潮風を受けながら集落の屋根越しに海を眺める体験は、他の観光地では味わえない唯一無二の情緒を醸し出しています。