ネット上で囁かれる「経営破綻」「潰れた」という噂の発端は、2017年後半から2018年にかけて実施された法的な事業再生手続きにあります。結論から言えば、慶雲館は一度も閉館しておらず、現在の宿泊営業にも何ら支障はありません。
当時、旧運営会社であった「株式会社西山温泉慶雲館」は、過去の大規模な増改築や源泉掘削工事に伴う約11億円規模の有利子負債を抱えていました。バブル崩壊後の観光需要の変容や団体旅行から個人旅行へのシフトが進む中、過重な債務を抱えたままでは将来の施設維持やサービス向上が困難になるリスクに直面していたのです。
そこで活用されたのが、地域経済活性化支援機構(REVIC)傘下のファンドや地元金融機関が支援する「新旧分離(事業譲渡型)スキーム」でした。旅館の運営事業や従業員の雇用、歴史的価値ある施設資産は新たに設立された新会社へと引き継がれ、多額の債務が残った旧会社のみが2018年に東京地裁へ特別清算を申し立てて整理されました。
この法的手続きが公のニュースとして報道された際、「慶雲館が特別清算=倒産した」という見出しや断片的な情報だけが独り歩きし、現在に至るまで誤解の検索クエリとして残り続けているのが実態です。現場のスタッフや伝統の深山会席、徹底したおもてなしはそのまま新体制へと引き継がれ、現在は財務体質を大幅に筋肉質化させた優良旅館として安定した高稼働を維持しています。