インターネット上の掲示板やSNSでは、「女性側が冷えを改善すれば授かる」「排卵日前に精子を長期間ためておいたほうが濃くなる」といった科学的根拠に乏しい俗説が散見されます。しかし、これらの誤解を放置することは、貴重な妊活期間の浪費につながりかねません。
世界保健機関(WHO)の広範囲な調査データによると、不妊の原因の約48%は男性側(単独要因24%、男女双方の要因24%)に存在することが明らかになっています。精子は約74日間の周期で常に新しく作られていますが、過度な禁欲は逆効果です。精子を1週間以上ため込むと、精液中の死滅精子や酸化ストレスによるDNA損傷精子の割合が増加し、受精能力が著しく低下します。運動率の高い新鮮な精子を保つためには、禁欲期間を2〜3日程度に抑え、定期的に射精を行うことが医学的な鉄則です。
また、精子を作る精巣は熱に極めて弱い器官です。サウナや長時間の長風呂、タイトな下着の着用、膝の上でのノートパソコン使用は精巣温度を上昇させ、造精機能を悪化させます。男性側の妊活準備としては、熱ストレスの回避に加え、過度な飲酒や喫煙の中止、抗酸化作用を持つ亜鉛やコエンザイムQ10の補給が推奨されます。さらに女性側においては、胎児の神経管閉鎖障害リスクを低減させるため、妊娠前から1日あたり400μgのモノグルタミン酸型葉酸をサプリメントで摂取することが厚生労働省のガイドラインでも強く推奨されています。