『オレンジ』が持つドラマ性の高さは、メンバーそれぞれの声質とキャラクターを完璧に活かした歌い分けパートによって完成されています。歌唱力や声のトーンが異なる5人の歌声がバトンを繋ぐことで、一人の青年の心の中で渦巻く複雑な感情のグラデーションが見事に表現されています。
楽曲の冒頭、静まり返ったアコースティックサウンドの中で物語の口火を切るのは木村拓哉氏の太く憂いを帯びた歌声です。聴き手を一瞬で夕暮れのバス停へと引き込む情景描写力を持っています。続くAメロ・Bメロでは、稲垣吾郎氏の甘く透明感のあるトーン、草彅剛氏の素朴で誠実な響き、香取慎吾氏の温かく感情豊かなニュアンスが重なり、別れの寂しさと過去の幸福な記憶が交錯する内面を立体的に描き出します。
そしてサビや大サビ前、中居正広氏のストレートでどこか哀愁を感じさせるソロパートが加わることで、楽曲のエモーションは最高潮に達します。技巧に寄りすぎず、言葉の一つひとつを噛み締めるように届ける5人のユニゾンとソロの対比は、グループボーカルならではの奇跡的なケミストリーを生み出しています。