「いとおかし」の訳語を一つに絞るのが不可能なのは、文脈によってその表情が目まぐるしく変わるからだ。現代の文脈に置き換えてみると、その汎用性の高さに驚かされる。
第一に「美的・風流な面白さ」。夕暮れのグラデーションや冬の朝の澄んだ空気感など、自然の美に対する感嘆だ。第二に「おかしい・滑稽な面白さ」。思わずクスッと笑ってしまうような、人間臭い失敗や可愛らしい行動。そして第三に「興味深い・知的な面白さ」。巧みな言い回しや、意表をつくアイデアに対する称賛だ。これらすべてを包み込む包容力こそが、この言葉の最大の魅力と言える。