破竹の快進撃を続ける栗毛の逃亡者は、1998年の宝塚記念で自身初となるG1タイトルの戴冠を果たす。ファン投票の上位馬が集うドリームレースにおいて、サイレンススズカが見せた走りは圧巻の一言に尽きた。並み居る強豪たちを相手に、ハロンラップ11秒台を連発する超ハイペースを刻みながら、そのまま影をも踏ませずに押し切ってみせたのだ。
通常、競馬における逃げ馬は後半の失速を恐れて前半のペースを緩める。しかし、彼にとっては「速いペースで逃げることこそが最も楽な走り方」であった。競走馬の持つ本能と騎手の完璧なコンビネーションが噛み合った時、サラブレッドはどこまで速く走れるのか。宝塚記念での圧倒的な勝利は、彼らが到達した領域が他とは一線を画していることを証明した。