演出家として名声を確立した今もなお、彼が「俳優」として板の上に立ち続けることには重大な意味がある。プレイヤーとして現場の生々しい空気を肌で知っているからこそ、キャストの心情に寄り添い、秘められた潜在能力を極限まで引き出すことができるのだ。
演出家と俳優という二つの視点が同居するからこそ生まれる、圧倒的な説得力。「もっと演劇を面白く、自由なものにしたい」という純粋な情熱が、彼の手掛ける現場のすべてに満ち満ちている。キャストやスタッフから絶大な信頼を寄せられる背景には、そうした妥協なき現場主義が存在する。