彼の名前が映画ファンの記憶に深く刻まれた原点と言えば、映画『キャッチボール×3』を挙げないわけにはいかない。
登場人物たちの他愛もない会話の裏に隠された緊張感、ふとした瞬間に漂う切なさと歪み。群像劇という形式を借りながらも、人間の本質的な孤立感をあぶり出す手法は、初監督作にしてすでに完成された輝きを放っていた。低予算映画特有の制約を逆手に取り、画面の端々にまで張りつめた空気を充満させた演出能力は、当時のインディペンデント映画界に大きな激震を走らせた。
「カメラが捉えているのはストーリーではなく、登場人物の皮膚の感覚だ」。当時の映画批評家たちが寄せた絶賛は、現在の彼の評価の強固な基盤となっている。