実写版が単なる「子ども向けドラマ」に終わらず、社会現象となった最大の立役者は、脇を固めたベテラン俳優陣の凄まじい憑依力にあった。
友蔵役・モト冬樹:特殊メイク不要論まで飛び出した「奇跡のシンクロ」
まる子の最大の理解者であり、哀愁とユーモアを漂わせる祖父・友蔵。この役をモト冬樹が演じると発表された際、日本中がどよめいた。当時の制作陣が「カツラも大掛かりな特殊メイクも一切必要なかった」と語った通り、頭頂部のビジュアル、細身の体躯、そして何より情けなくも心優しい表情のシンクロ率は、漫画実写化の歴史における金字塔といえる。SNSでも「友蔵を演じるために生まれてきた男」「原作者がモト冬樹を見て友蔵を描いたのではないか」というジョークが飛び交うほどの社会的反響を呼んだ。
さくら家のリアリティとクラスメイトたちの狂気的な完成度
父・ヒロシ役の高橋克実、母役の清水ミチコ、祖母役の市毛良枝という布陣は、昭和40年代の日本の一般家庭が持つ生活感と混沌を見事に再現した。特に清水ミチコが見せた「怒声の中に潜む生活疲れと愛情」のバランスは、モノマネの名手ならではの観察眼が結実した名演だった。
さらにネットを騒然とさせたのが、花輪クン(演:馬宮輝)の髪型とキザな仕草の完全再現、丸尾君の牛乳瓶底メガネ越しの狂気的な学級委員長ぶり、そしてみぎわさんの執念深さである。2次元の記号的キャラクターを違和感なく3次元へ落とし込む美術スタッフと役者の力量は、現代のVFX全盛期の実写作品と比較しても群を抜いていた。