桜ミクのルーツを辿ると、インターネット黎明期におけるユーザー主導の創作ムーブメントに行き当たります。もともとは2008年頃、イラスト投稿サイト「pixiv」や動画共有プラットフォームにおいて、有志の絵師たちが「春を感じさせる初音ミク」としてピンクのツインテールや桜の花びら、さくらんぼの髪飾りをあしらったイラストを発表したことがすべての始まりでした。
この草の根の熱気を受け止めたのが、キャラクターの権利元であるクリプトン・フューチャー・メディアとフィギュアメーカーのグッドスマイルカンパニーです。2011年の東日本大震災復興支援企画を経て、2012年に「ねんどろいど 桜ミク」として初の公式立体化が実現。ファンアートという集合知から生まれた意匠が、公式の正式なバリエーションとして迎え入れられた歴史的瞬間でした。
公式化以降、桜ミク歴代絵師と誕生の経緯を語る上で欠かせないのが、時代を牽引するトップイラストレーターたちの存在です。初音ミクのオリジナルデザイナーであるKEI氏による端正な桜色ミクをはじめ、CHAN×CO氏による愛らしいデフォルメ、ぷちでびる氏による柔らかく可憐な筆致、岩十氏やiXima氏、LEN[A-7]氏など、名だたる絵師たちが歴代の公式ビジュアルを担当してきました。絵師ごとに異なる髪の透明感、衣装の細部アレンジ、瞳に映る桜の描き込みが、桜ミクという存在に重層的な魅力を与え続けています。