映画史に残る数々の名セリフが生まれたアフレコ現場は、文字通りの真剣勝負でした。特に語り草となっているのが、シータ役を演じた声優・よこざわけい子(当時は横沢啓子)さんとの掛け合いです。
クライマックスで崩壊するラピュタ城の中、2人が手を取り合って唱える滅びの呪文「バルス!」。このわずか3文字の叫びには、リテイクを重ねて突き詰めた緊迫感が凝縮されています。田中さんとよこざわさんは、息の吸い方からタイミング、声の音圧まで完全にシンクロさせるため、極限の集中力でマイクに向かいました。
「シータァァァ!」と叫びながら竜の巣へ突入する場面や、ドーラ一家に啖呵を切る場面など、テストの段階から本番さながらの熱気でスタジオが包まれていたといいます。宮崎監督の細部にわたる演出意図を瞬時に汲み取り、声だけでスクリーンの奥行きを何倍にも広げた役者陣の技術力は圧巻の一言です。