岩手県雫石町が怪談の舞台として語られる最大の理由は、1971年に発生した悲劇的な航空機墜落事故にさかのぼる。全日本空輸の旅客機と自衛隊機が上空で接触し、乗客乗員162名全員が命を落とすという惨事となった。事故現場となった山林は、後に犠牲者を追悼するための聖域として整備された歴史を持つ。
当時の混乱と衝撃は絶大で、現場捜索にあたった岩手県警察や地元消防団の証言、記録文書は、今なお凄惨な状況を鮮明に物語っている。この未曾有の惨劇が背景にあるからこそ、周辺一帯の怪談話は他地域とは一線を画す異様な真実味を帯びて語られてきたのだ。