若くして頂点に立った寺田選手を襲ったのは、度重なる怪我と過酷なプレッシャーでした。度重なる足の疲労骨折や腰痛に加え、体重管理の重圧から摂食障害に苦しむ日々が続きました。走ることへの純粋な喜びを見失い、心身ともに限界を迎えた結果、2013年、23歳という若さで現役引退を表明することになります。
当時の陸上界において、一度トップを退いた選手が再び第一線に戻るケースは極めて稀でした。「走ることが怖かった」と後に振り返るほど深い葛藤の中にあった彼女は、競技から離れることで初めて自分自身の人生を見つめ直す時間を得ました。この引退期間が、単なる休息ではなく人間的な成長を促す貴重な助走期間となったのです。