宝塚の男役といえば、しっかりと固められた黒髪リーゼントに伝統的な舞台メイク、そして定められた仕草の型が長年の絶対解だった。だが、彼女はその既成概念を軽やかに飛び越えてみせる。あえて髪を伸ばし、無造作なウェーブを効かせたヘアスタイルでライトを浴びる姿は、当時の宝塚ファンに強烈な衝撃を与えた。
衣装に対するこだわりも従来の枠組みを遥かに超えていた。男役専用の型付けされた衣装だけに頼らず、メンズファッションのトップブランドを積極的に導入。娘役を引き立てるための「男役」という記号を解体し、ひとりの独立した表現者としてのリアリティを舞台上に提示してみせたのだ。