恐怖の質感をリアルに体験できる場所として、徳島県に位置する大塚国際美術館の名が挙げられる。世界中の西洋名画を原寸大の陶板で再現したこの空間では、ゴヤの『我が子を喰らうサトゥルヌス』をはじめ、人間の深層心理を揺さぶる傑作の数々を間近で鑑賞することが可能だ。
デジタル画面越しでは決して味わえない重厚なスケール感と、迫り来る肉感的リアリティ。陶板複製画という特殊な媒体を通してもなお衰えない名画の威圧感は、恐怖と美が不可分であることを突きつけてくる。怪談として語られる都市伝説の絵画と、美術史に燦然と輝く名画の恐怖――根底に流れるのは、未知なるものへの人間本来の恐怖心に他ならない。