高校時代、神奈川の強豪・桐蔭学園の主砲として高校通算35本塁打を積み上げた超高校級捕手。その圧倒的な打撃力と遠投115メートルの強肩は、NPBスカウト陣の目を釘付けにした。ソフトバンクから単独1位指名を受けてプロの門を叩いた時、誰もが彼の輝かしい将来を確信していた。
しかし、勝者のメンタリティが充満する当時のホークス陣容は極めて分厚かった。育成出身から一気にスターダムへ駆け上がった甲斐拓也の台頭、そしてチームを支えるベテラン捕手たちの存在。一軍の打席で魅せる勝負強さは本物だったものの、毎週のようにマスクを被り続けるチャンスを掴み取るまでの道のりは過酷を極めた。「天才」と称された男がプロの洗礼を受け、自らのプレースタイルや精神面を一から再構築せざるを得なかった原点がここにある。