世間では長年、「会社員の手取りは額面の7割から8割程度」と語り継がれてきました。この手取り7割8割の真相は、単なる都市伝説ではなく、日本の現行税制と社会保険料率の設計から導き出されるリアルな数値特性です。
大まかな手取り計算方法としては、額面年収から社会保険料(約14〜15%)を引き、各種所得控除を差し引いた後の金額に所得税率・住民税率を掛け合わせて算出します。簡易的に把握する場合、年収300万〜600万円程度の中間層であれば「額面 × 0.75〜0.80」とおおよその手取り額を概算できます。ただし、日本の所得税は所得が高くなるほど税率が跳ね上がる累進課税を採用しているため、年収が800万円、1000万円と上昇するにつれて手取り率は急激に悪化し、やがて6割台へと沈んでいきます。
現在の制度環境に基づき、独身・扶養家族なしの給与所得者をモデルケースとした年収別手取り額の相場データをまとめた手取り早見表が以下の通りです。
表を見れば明らかなように、年収が上がっても手取りの伸びは徐々に鈍化していきます。年収が500万円から600万円へ100万円アップしても、手取りの増加額は約70万円に留まり、残りの30万円は税と社会保険の自動回収システムに吸収されます。これが労働現場で囁かれる「昇給したのに豊かさを実感できない」という現象の正体です。