「タイ料理=激辛」というイメージは広く浸透していますが、タイ料理の本来の魅力は辛さ単体ではなく、「辛味・酸味・甘味・塩味・旨味」が複雑に重なり合う立体的な調和にあります。
ネット上の口コミで「辛すぎて食べられない」あるいは「甘すぎて物足りない」という極端な評価のズレが生じる背景には、タイ料理の地域性に対する理解の不足があります。東北部(イサーン地方)の料理であるソムタム(青パパイヤのサラダ)やラープ(ハーブ香る挽肉サラダ)は、乾燥唐辛子や生のプリッキーヌ(小粒の激辛唐辛子)を容赦なく使ったソリッドな辛さが特徴です。
一方で、首都バンコクを中心とする中部料理は、ココナッツミルクやパームシュガーを多用したまろやかなコクが主軸となります。激辛の本場の味を求めるならイサーン料理専門を謳う店舗を選び、マイルドで華やかな味わいを楽しみたいなら宮廷料理の流れを汲むレストランを選ぶのが、ミスマッチを防ぐ最も合理的なアプローチです。