湿布を選ぶ際、最も多くの人が誤解しているのが「冷湿布は患部を冷やし、温湿布は温める」という思い込みです。
日本整形外科学会などの臨床知見によると、冷感湿布に含まれるメントールや、温感湿布に含まれるカプサイシン(トウガラシエキス)は、皮膚の感覚受容器(TRPチャネル)を刺激して「冷たい」「温かい」という感覚を脳に伝えているに過ぎません。実際の皮下温度や深部体温を物理的に変化させる効果はほとんどないのが事実です。
したがって、使い分けの判断基準は極めて明快です。
【冷感タイプが適するケース】
激しい運動直後の筋肉痛、打撲、捻挫、ぎっくり腰の初期段階など、患部に熱感や明らかな腫れを伴う「急性炎症期」。感覚刺激によって痛みの伝達を麻痺させ、痛覚閾値を上げる効果が期待できます。
【温感タイプが適するケース】
長時間のデスクワークによる慢性的な肩こり、血行不良による重度の腰痛など、冷えると悪化する「慢性疲労期」。トウガラシ成分による軽微な刺激で局所循環を促進し、凝り固まった筋肉の緊張をほぐします。ただし、入浴の1時間前には剥がさないと、入浴時に激しいヒリヒリ感(灼熱痛)を引き起こすため注意が必要です。