日本の富豪史を振り返ると、歴代長者番付1位の顔ぶれは、その時代における日本経済の産業構造そのものを映し出す鏡となってきました。
高度経済成長期から昭和後期にかけては、松下電器産業(現パナソニック)創業者の松下幸之助氏や、ブリヂストン創業家の石橋正二郎氏ら、製造業・物造りで国を牽引した実業家が名を連ねていました。その後、1980年代後半のバブル経済期には、西武鉄道グループを率いた堤義明氏や、森ビルの創業者である森泰吉郎氏が世界一の富豪としてフォーブス誌の表紙を飾り、不動産・土地神話が富の頂点を極めました。
しかし、バブル崩壊と2000年代以降のIT革命を経て、富の重心は劇的な転換を遂げます。インターネットインフラをいち早く築いた孫正義氏や、製造小売という革新的サプライチェーンを世界規模で展開した柳井正氏が台頭。かつての「重厚長大・土地保有」から「ソフトウェア・グローバルSPA・知的財産」へと、長者番付の主役は完全に交代したのです。