本作のクライマックス直前、パトカー内で交わされる会話は、ファンの間で最も語り継がれる名場面です。このセリフの解釈をめぐっては、原語(英語)と日本語吹き替え版の表現の違いが重要な意味を持ちます。
日本語吹き替え版では、ニックの「俺のこと好きなんだろ?」という問いかけに対し、ジュディが「ええ、好きよ。…これ以上スピード出したら逮捕するわよ」と返答します。非常にストレートかつロマンティックに響くフレーズですが、原語のスクリプトでは以下のようなやり取りになっています。
Nick: "You know you love me."
Judy: "Do I know that? ...Yes. Yes I do."
英語圏における「You know you love me」という表現は、親しい友人やバディ同士が軽口を叩き合う際の定番ジョークでもあります。「俺のことが恋しくてたまらないんだろ?」というからかいに対し、ジュディは「認めたくないけれど、あなたが大好き(大切)よ」と切り返している構図です。
この名シーンに命を吹き込んだ日本語版キャストの演技も見逃せません。ジュディ役の上戸彩さんは、実直で決して諦めない芯の強さと、ニックの前でだけ見せる無防備な可愛らしさを絶妙なバランスで表現しました。そしてニック役の森川智之さんは、酸いも甘いも噛み分けた大人の色気と、心の奥底にある傷つきやすさを低音ボイスのニュアンスに込め、世界基準で見ても屈指のキャラクター像を完成させました。両氏の掛け合いが生み出す空気感こそが、日本国内における二人の人気を決定づけた要因といえます。