蕎麦通の間で「一度は訪れるべき聖地」と称される蕎麦 伊とう。その噂の真相を探ると、単なる話題性や宣伝にとどまらない、妥協なき職人仕事の数々が浮かび上がってきます。同店が提供する手打ち蕎麦の根幹にあるのは、玄蕎麦の選定から製粉、水回し、延し、包丁入れに至る全工程への徹底した温度・湿度管理です。
一般的な蕎麦店と一線を画すのは、日によって状態が変化する蕎麦粉の水分量を指先の感覚で見極め、十割あるいは外二(蕎麦粉10に対してつなぎ2)の配合をミリ単位の精度で打ち分ける職人技です。打ち立て・切り立て・茹で立ての「三立て」を忠実に守り、冷水で一気に締められた蕎麦は、角が立ち、口に含んだ瞬間に芳醇な穀物の香りが鼻腔を抜けます。
さらに、出汁(つゆ)へのこだわりも見逃せません。熟成させた本枯節と宗田節、利尻昆布からじっくりと引いた一番出汁に、長期熟成させた特製かえしをブレンド。角の取れたまろやかな旨味とキレのある醤油の風味が、蕎麦本来の甘味を最大限に引き立てます。巷に溢れる「過剰な演出」を排し、本質的な味の調和を追求し続ける姿勢こそが、長年にわたり高い口コミ評判を維持し続ける決定的な要因です。