ショーケースを覗き込むと、まるで宝石店のような華やかさに目を奪われる。だが、アカシエの真価は単なる見た目の美しさにとどまらない。その根底にあるのは、フランス伝統菓子の堅牢な骨格と、興野シェフ独自の圧倒的な情熱だ。
甘み、酸味、苦味、そして香りと食感。すべての要素が綿密に計算され、舌の上で立体的に組み上がる。甘さを控えることが美徳とされがちな日本の洋菓子界において、アカシエは素材の輪郭をくっきりと際立たせる。「しっかり甘く、しっかり酸っぱく、素材の香りを爆発させる」。一口食べた瞬間に脳が覚醒するような力強いパンチ力こそが、この店の真骨頂だ。