氷川きよし(本名:山田清志=やまだ きよし)は、1977年9月6日、福岡県福岡市南区で生まれました。幼少期は内向的で心優しい少年だったと伝えられており、外で活発に遊ぶよりも歌や絵画などの自己表現に惹かれていたといいます。学生時代はポップスやバラードを好んで聴いていましたが、福岡第一商業高等学校時代に芸能部へ入部したことを契機に演歌の深遠な歌唱技法に開眼しました。
高校卒業後、歌手の夢を叶えるために単身上京。作曲家・水森英夫氏に弟子入りし、厳しいレッスンとアルバイトに明け暮れる下積み生活を経験します。数年間にわたる下積みの日々は決して平坦ではなく、先の見えない不安の中でひたすら歌の技術を磨き上げました。
その努力が結実したのが2002年発表の『きよしのズンドコ節』です。合いの手の「き・よ・し!」コールは日本全国のお茶の間に浸透し、演歌というジャンルそのものを若い世代にも親しみやすいエンターテインメントへと押し上げました。しかし、華々しい成功の光が強くなればなるほど、周囲から求められる「たくましく男らしい演歌歌手」という虚像と、本来の繊細な内面とのあいだに深い乖離が生まれていくことになります。