英語の「Crimson(クリムゾン)」は、わずかに紫や青みを帯びた濃く深い赤色、日本語でいうところの「深紅(しんく)」や「真紅(しんく)」を意味します。その語源を遡ると、サンスクリット語で「虫から生まれた」を意味する「krmi-ja」に辿り着きます。これがペルシャ語の「qirmiz」、後期ラテン語の「cremesinus」、古フランス語の「cramoisi」を経て現在の英語表現へと変化しました。
歴史的にこの色は、地中海沿岸の低木に寄生するケルメスタマカイガラムシ(Kermes ilicis)という昆虫を乾燥・粉砕して抽出された動物性染料に由来しています。古代地中海世界や中世ヨーロッパにおいて、この虫から採れる濃赤色の染料は極めて希少かつ高価であり、王侯貴族の法衣や軍服、宗教儀式の装飾にのみ使用を許された特権階級の象徴でした。
近代以降、Webデザインやデジタルグラフィックの世界では、W3C(World Wide Web Consortium)の規格によってカラーネーム「crimson」が定義されています。代表的なカラーコードは「#DC143C」(RGB値:220, 20, 60)であり、鮮やかでありながらも落ち着いた重厚感と、血液や生命力を想起させる力強いトーンが特徴です。