本作の魅力を語る上で欠かせないのが、猫の愛らしさだけでなく、それを取り巻く人間たちの生き生きとしたキャラクター造形です。
さんじゅうろう(猫城主)
本作の主人公。茶白の毛並みと凛々しい顔立ちが特徴。マイペースながら物怖じしない性格で、城の石垣や階段を我が物顔で闊歩する。単なるマスコットではなく、人の心の痛みに寄り添うような不思議な包容力を持っています。
城の管理人・観光協会スタッフたち
災害による打撃で疲弊しながらも、町の復興のために泥臭く奔走する人々。さんじゅうろうの健康管理や防寒対策、観光客への対応に頭を悩ませつつ、我が子のように愛情を注ぐ姿がユーモラスかつ温かく描かれます。
地元住民と歴代の城ファン
過疎化と被災に悩む高梁市の住民たち。当初は城に猫を置くことに対する慎重な意見もありましたが、さんじゅうろうの純真な姿に触れる中で、徐々に町の結束を取り戻していきます。
作中では動物を過度に擬人化して言葉を喋らせるような安易な演出を避け、猫本来の自然な仕草や表情の機微をリアルに描写しているため、猫好きの読者からも絶大な信頼を寄せられています。