渋皮をすべて剥ぎ取るのではなく、あえて渋皮を残して艶やかに煮上げる「渋皮煮」は、栗仕事の最高峰として親しまれています。しかし、鬼皮だけを綺麗に剥き、渋皮を破らずアクを抜く工程には精密な技術が求められます。
栗の渋皮煮の作り方の詳細における第一関門は、鬼皮の除去です。熱湯に30分浸けて鬼皮を柔らかくした後、渋皮を傷つけないよう底部のざらざらした部分から包丁の刃先で鬼皮だけをつまむようにして剥いていきます。渋皮に少しでも深い傷がつくと、煮ている最中に実が割れて煮崩れるため、細心の注意を払います。
続いて重要なのが、栗の渋皮を熱湯と重曹で処理するアク抜き工程です。鍋にたっぷりの水と栗、重曹(栗1kgに対して大さじ1程度)を入れて弱火にかけます。沸騰すると濃い赤紫色の泡とアクが大量に出てきますが、決してグラグラと強火で沸騰させてはいけません。弱火で10〜15分煮たら、静かに湯を捨てて流水に晒します。
この重曹茹でを2〜3回繰り返すことで、渋皮の不快なえぐみ(タンニン)がアルカリによって中和され、渋皮自体が柔らかく口当たりの良い食感へと変化します。茹でこぼしの合間に、渋皮の表面に残る黒い筋や毛羽立ちを指の腹で優しく撫で洗いすると、まるで宝石のような光沢ある仕上がりになります。最後に重曹を抜くための真水での下茹でを経てから、数回に分けて砂糖を加えながら弱火で煮含めるのが、失敗を防ぐ黄金ルールです。