菊田杢太郎は、大日本帝国陸軍第七師団歩兵第27聯隊に所属する特務曹長です。特務曹長とは、当時の軍隊組織において下士官(軍曹・曹長)が叩き上げで昇進できる事実上の最高位(准士官)であり、一般の将校(少尉や中尉)とは異なり、現場の兵士たちの苦難を骨の髄まで知り尽くした歴戦の猛者であることを意味します。
日清戦争および日露戦争に従軍し、奉天会戦で全身に多数の銃創を負って長期療養を余儀なくされました。登別温泉で湯治を行っていた際に鶴見中尉陣営と合流し、前線へと復帰します。常に飄々としたポーカーフェイスを崩さず、耳あて付きの軍帽とトレンチコートを粋に着こなす佇まいは、まさに「歴戦の古狸」と呼ぶにふさわしい風格を備えています。
特筆すべきはその戦闘能力です。菊田はロシア製のリボルバー拳銃「ナガントM1895」の二丁拳銃を愛用します。一般的な軍用小銃による遠距離狙撃戦ではなく、至近距離での電光石火の早撃ちや連射を得意とし、閉所や乱戦において圧倒的な制圧力を誇りました。アニメ版(第4期〜)では名優・堀内賢雄氏が声を担当し、酸いも甘いも噛み分けた大人の色気と底知れぬ凄みを完璧に表現しています。