サロン現場に立つ技術者や利用者の間では、どのような意識の違いが存在するのでしょうか。都内バーバーの現役店主と、表参道ヘアサロンでトップスタイリストを務める美容師双方への聞き取り、さらにユーザーコミュニティの声を精査しました。
現場スタイリストが語る「技術哲学と顧客層の違い」
「理容の真骨頂は、0.1ミリ単位で色彩をコントロールするグラデーションカット(フェード)と、肌を傷つけずに産毛を剃り上げるカミソリさばきです。一度シェービングの爽快感とミリ単位の輪郭作りに魅了された男性客は、ほぼ確実に3〜4週間周期でリピートしてくれます」(都内ネオバーバー店主・40代男性)
「美容室に求められるのは、トレンドを取り入れた似合わせとトータルな空気感の演出です。ハイライトカラーや髪質改善トリートメントなど、薬剤知識とスタイリングの提案力が売上に直結します。流行の移り変わりが早いため、常に自己アップデートを続けなければ指名を取り続けるのは難しい現場です」(表参道美容室ディレクター・30代女性)
「どっちが儲かる?」独立開業と生涯収益のリアル
「理容師と美容師はどちらが稼げるのか」という問いに対し、かつては店舗数と客層の広さから美容師優位と語られることが多くありました。しかし、近年の市場動向は異なる様相を見せています。
美容室は全国に約27万軒存在し、コンビニエンスストアの約5倍という過密競争状態にあります。集客ポータルサイトへの広告掲載費や値引き競争が利益を圧迫しやすい構造を抱えています。
対して理容室は全国に約11万軒あり、店舗数は年々減少傾向にあります。しかし、理容師の平均年齢が60歳を超えるなど後継者不足が進む一方で、20〜40代の若手理容師が手がける高単価バーバー(客単価8,000円〜12,000円)には予約が殺到しています。「ライバルが少なく固定客が定着しやすい理容」と、「市場規模は巨大だが競争が激化している美容」という、明確なビジネス環境の差が浮き彫りになっています。