物語の始まりは2003年の沖縄。高校生の後輩・玉城美海(上白石萌歌)と、音楽を愛する先輩・真喜屋湊(赤楚衛二)は、カセットテープとMDを通じて惹かれ合います。美海の後押しで音楽の道を志した湊は東京へ進学し、2年後に美海も上京して再会を果たしました。2人の幸せな生活が始まるかに見えた矢先、湊はある日突然、美海の前から忽然と姿を消してしまいます。
連絡も取れず、理由も告げられないまま置き去りにされた美海は深い絶望に暮れますが、やがて東京で自立し、年月を重ねていきます。そして20年の時を経た2026年、美海のもとに湊の母(国仲涼子)や旧友を通じて、湊が遺したカセットテープと手紙が届けられることで、すべての真相が明らかになります。
湊が美海の前から去った真の理由は、進行性の不治の病(重篤な疾患)の発覚でした。余命宣告を受けた湊は、自分が美海の若き未来と夢を奪ってしまうことを恐れ、「自分を忘れて前を向いて生きてほしい」という悲痛な決断から、自ら悪者となって姿を消す選択をしていたのです。闘病の末に湊はこの世を去っていましたが、テープには美海への変わらぬ愛と感謝、そして美海が前へ進むための優しい歌声が遺されていました。
ラストシーンでは、湊の深い愛情と真意を知った美海が、悲しみを乗り越えて故郷・沖縄の空を見上げ、自分の人生を力強く歩み出す姿が描かれます。ただの悲劇(バッドエンド)ではなく、「人を本気で愛した記憶が、一生の生きる糧になる」という希望に満ちた結末が観客の涙腺を大きく揺さぶりました。