日本のポップス史において、原田真二のデビュー当時の衝撃はまさに規格外でした。1977年10月に『てぃーんず ぶるーす』でデビューを飾ると、翌11月に『キャンディ』、12月に『シャドー・ボクサー』と、わずか3ヶ月連続でシングルをリリース。この3曲すべてが同時にオリコンチャートのベスト20にランクインするという、前人未到の快挙を成し遂げました。
当時の歌謡界は、専業の作曲家・作詞家が制作した楽曲を歌手が歌う分業制が主流でした。しかし原田真二は、自ら作詞(一部)・作曲を手がけ、ピアノやギターを変幻自在に操るシンガーソングライターとして登場したのです。彼が「天才」と称された最大の理由は、エルトン・ジョンやポール・マッカートニー直系の洗練されたコードプログレッション(和音進行)と、ポリリズムや変拍子を巧みに組み込んだ圧倒的な構築美にありました。
さらに、はっぴいえんど出身の作詞家・松本隆との黄金コンビが、その革新性に拍車をかけました。松本隆の文学的で都市感覚に満ちた言葉が、原田の紡ぐ洋楽的なメロディラインと完璧に融合。1978年発売のファーストアルバム『Feel Happy』は、オリコンLPチャートで日本のシンガーソングライターのデビュー作として史上初の「初登場1位」を記録し、その名を歴史に刻みました。