一昔前のドッグトレーニングでは、「犬が飼い主の足元や体の上で寝るのは、自分がリーダーだと誇示し、飼い主を見下している(アルファシンドローム)」と説明されることがありました。しかし、現代の動物行動学において、この旧来の支配性理論は完全に否定されています。
犬が足元を選ぶのは、飼い主を支配するためではなく、群れのリーダーである飼い主への信頼と、犬が体をくっつけて寝る理由である「社会的絆(ソーシャル・ボンディング)」の形成に基づいています。オキシトシン(愛情ホルモン)の分泌を促し、心拍数を安定させるための自然なリラクゼーション行動に過ぎません。
「足元で寝かせるとしつけが悪くなる」「上下関係が崩れる」といった言説は科学的根拠を欠いており、無理にベッドから追い出すことでかえって犬に不要な不安感や疎外感を与えてしまうリスクがあります。