国際経済誌や大手メディアの調査において、常に世界の君主ランキングのトップに君臨するのがタイ国王です。米フォーブス誌や英フィナンシャル・タイムズ紙などの試算によると、タイ国王の総資産は推定300億ドルから430億ドル(日本円換算で約4兆5000億〜6兆5000億円超)に達します。これは英チャールズ国王やモナコ公室、さらにはサウジアラビアのサルマン国王の個人推計資産をも大きく上回る桁違いの規模です。
この巨額資産の源泉はどこにあるのか。最大の要因は、タイ最大の金融機関であるサイアム商業銀行(SCB)の大株主権や、国内最大手財閥サイアム・セメント・グループ(SCG)の株式、そして首都バンコクの一等地を含む約65平方キロメートル(東京ドーム約1400個分)に及ぶ広大な不動産利権です。
注目すべき決定的な転換点は、前国王の崩御後に行われた制度改革にあります。かつてこれらの資産は「王室財産管理局(CPB)」という準公的機関によって管理され、国家の資産と王族個人の資産は法的に明確に区別されていました。しかし、現国王の即位に伴う2017年から2018年の法改正により、全資産の名義が国王個人の直接所有へと変更されました。これにより、巨額の配当金や不動産収益が完全に国王の直接裁量下に置かれることになったのです。